はじめに
帰化申請において、申請者の身分関係を証明するための母国資料の収集は重要なステップです。しかし、国際結婚や海外での出生など、複雑な背景を持つ申請者の場合、法務局が求める資料をそのまま用意することが困難なケースがあります。当事務所では、そうした「標準的な書類が揃わない」状況でも、適切な代替資料と説明により申請を成功に導いた事例を多数扱ってきました。
事例:母国戸籍に記載のない子どもの親族関係証明
課題
外国籍の申請者が帰化申請をする際、配偶者や子どもとの親族関係を証明するために母国の戸籍謄本や出生証明書などの提出が求められます。しかし、子どもが母国ではなく第三国や日本で生まれ、母国の戸籍制度に登録されていない場合、母国からの公的証明書を取得できないというケースがあります。
解決方法
このような場合、以下の代替資料の組み合わせにより、親族関係を適切に証明することが可能です:
- 子どもが実際に生まれた国・地域の出生証明書
- 出生地の行政機関が発行した正式な出生証明書
- 親の氏名が記載されていることが重要
- 日本国内の住民票等
- 日本の場合は世帯全員の住民票
- 海外の場合は家族関係が記載された居住証明書など
- 詳細な状況説明を記載した上申書
- なぜ母国の資料が取得できないかの経緯
- 代替資料で親族関係が証明できる根拠
- 家族構成の詳細な説明
申請時のポイント
上申書では、「母国では子どもが国外で生まれた場合、戸籍に記載されない制度になっている」などの制度的背景や、「出生国の証明書に両親の名前が明記されており、親子関係は明白」といった点を論理的に説明することが重要です。また、提出する代替資料は全て正規の翻訳付きで提出し、信頼性を高めることが成功のカギとなります。
まとめ
帰化申請において「標準的な書類が揃わない」というケースは珍しくありません。しかし、適切な代替資料と状況説明により、法務局の理解を得ることは十分可能です。当事務所では、このような複雑なケースこそ専門家のサポートが活きる場面だと考え、一つひとつの事例に丁寧に対応しています。お困りの方は、ぜひご相談ください。