【1】日本国籍の取得方法
出生による国籍取得
以下の➀~➂の場合は、出生した時点で日本国籍が取得されます。
➀出生の時に父または母が日本国民であるとき
➁出生前に死亡した父が死亡の時に日本国民であったとき
➂日本で生まれ、父母がともに不明のとき、又は無国籍のとき
日本は基本的に後者の血統主義を採用していますので,父又は母が日本国民であれば,その子は海外で生まれても,父が出生前に亡くなっていても,出生によって(出生届等の手続きは必要です)日本国籍を取得できます。ここで言う「父」「母」とは,子どもの出生の時に法律上の親子関係がある父又は母のことです。例えば父親が日本国籍で母親が外国籍の場合,結婚していなければ,あるいは父親が母親の妊娠中から認知(胎児認知)していなければ,日本国籍は取得できません。
また、日本で子どもを出産したが母親が何らかの事情で行方不明で身元が分からず,父親も分からないといった場合,子どもが無国籍になる危険があります。このような場合,できるだけ無国籍の子どもを出さないよう出生地主義を併用して(③の要件)日本国籍の取得を認めています。
届出による国籍取得
以下の➀~➂の場合は、届出により日本国籍が取得できます。
➀認知された子の国籍取得
➁国籍留保をしなかった方の国籍の再取得
➂その他の場合
➀について、例えば日本人の父と外国籍の母が結婚する前に、母の子として生まれていた場合、父から認知されれ、かつ以下3つの要件を満たせば、届出をすることにより、日本国籍取得が可能です。
・届出の時にその子供が18歳未満
・認知した父がその子供の出生の時に日本国民である
・認知した父が届出の時にも日本国民である
➁について、例えば、日本人の父又は母の子どもが海外で生まれた場合,出生から3か月以内に在外日本大使館等を通じて日本側にも出生届を提出しなければなりません。その際に「日本国籍を留保する」旨を届出なければ,日本国籍を出生時に遡って喪失することになります。
このような手続きを国籍留保と言い,その子が外国籍と日本国籍の両方を持てるようにしておくための手続きです。
②の規定は,何らかの事情で国籍留保の届出をせず,日本国籍を喪失した子どもでも,国籍再取得の届出をすることで,日本国籍を取得できると定めたものです。この際の要件は「国籍再取得の届出の時に18歳未満である」と「日本に住所がある」です。
③の「その他の場合」とは,「官報催告によって国籍を喪失した方の国籍再取得(国籍法第17条2項)」等の場合です。
「日本国籍の留保」の届出をすれば,その子どもは日本を含め複数の国籍(重国籍)を持つことができますが,日本は重国籍を認めていませんから,基本的にその子が20歳に達するまで(重国籍になったのが18歳以上ならその時から2年以内)には,自分はどの国籍を選択するか決めなければなりません。
定められた期限までに国籍選択をしない時,法務大臣は書面で「どこかの国籍を選択してください」と「催告」し,定められた期間内にその人が日本国籍を選択しないと,日本国籍を喪失することになります。なお,2022年4月1日より,民法改正に伴い日本の詩人年齢は18歳に引き下げられたことにより経過措置というものが取られていますので,ご自身がその経過措置に該当するか一度ご確認頂くことをお勧めします。
【2】帰化とは
帰化とは、日本国籍を持たない外国人が意思表示(法務局への申請)により、法務大臣の許可を得ることにより日本国籍を取得することです。帰化申請が許可された場合には、官報に住所、氏名、生年月日が告示され、また、申請者ご本人にも通知されます。日本では、官報の公示日から帰化の効力を生じます。つまり、日本国籍取得日は官報に公司された日です。帰化の種類は
普通帰化
「日本国民との特別なつながり」などを持たない外国人による、いわゆる一般の帰化手続きです。成人した後に日本に来日し、留学や仕事をし、何年か経過した後に帰化申請をする場合が普通帰化です。
特別帰化(簡易帰化)
婚姻関係、親子関係等、日本国民との特別なつながりを持つ外国人を対象とした帰化申請制度です。「つながり」の内容に応じで、普通帰化に求められる要件がいくつか緩和されます。日本人の子供(国籍は外国籍)や日本人の配偶者が特別帰化にあたります。
大帰化
日本に多大な功労貢献した外国人に対して、国会の承認により、日本国籍を与える特殊な帰化手続きです。今のところ、大帰化による日本国籍の取得の例はありません。
【3】帰化と永住ビザの違い
永住権との違いは、永住権は、外国人が母国の国籍を保有したまま、在留期間を制限されることなく日本で住み続けることができる権利のことを指しますが、帰化は、母国の国籍を喪失させ、日本人として日本に住み続けることを指します。帰化した場合は、今まで保有していた在留カードの更新をする必要がなくなり、日本人パスポートが所得可能となり、参政権も与えられます。そして、就労の制限もなくなりますので、どんな職業でも就職することができるようになります。また、社会保障サービス等も日本人同様に受けることができるようになります。
外国人特有の手続きが不要になる
永住ビザの取得者は、外国人登録、再入国手続き、在留カード更新を行う必要があります。帰化した場合は、日本国籍を取得することになるため、外国人関連の手続きは不要となります。
参政権が与えられる
永住ビザ取得者は外国籍のため、参政権は付与されません。帰化した場合は、日本人として参政権が付与されるため、選挙で投票することができます。
母国への帰国について
永住ビザの取得者は、母国の国籍は失っていないため、母国への帰国について特に問題はありません。また、日本へ再度入国するために、日本からの出国前に、みなし再入国手続き又は再入国手続きが必要です。
帰化した場合は、母国へ帰国する際、日本人として入国手続きが必要となります。日本へ再入国する際には、すでに日本人であるため、上記のみなし再入国手続きや再入国手続きは不要です。
日本人パスポートが取得可能
帰化後、外国に行く際は、日本人としてのパスポートを取得できますので、それまで必要だった再入国の手続きや様々な国へ渡航するのにビザの取得が不要とります。
社会福祉サービスは日本人と同様に受けられる
帰化した場合、日本人と同じく年金や保険、教育、福祉などの社会保障を受けられます。例えば、事故や病気などで生活が立ち行かなくなってしまった場合、生活保護などを受ける権利が得られるのです。これらの社会保障を受けられることは、今後日本で長期的に暮らしていくために重要なことと言えるでしょう。
銀行からの住宅ローンや仕事をする上での融資がうけやすくなる
帰化した場合、銀行から住宅ローンや自動車ローンなどの融資を受けやすくなります。日本を出国する可能性のある外国人に融資することは、避けたいと考える金融機関がほとんどです。帰化することで、日本人として見なされ社会的信用度が上がり、融資が受けやすくなります。注意点として、銀行などの金融機関からの融資は、日本人と同様にさまざまな面で審査されます。そのため、帰化していれば必ず融資が受けられるということではありません。
職業の制限がない
永住ビザの取得者は、基本的に職業の制限はありませんが、一部の職業(公務員等)は、日本国籍でなければ従事することができません。
日本国内からの退去について
永住ビザの取得者は、法律違反等により退去強制事由に該当すると、母国へ強制送還される場合があります。帰化後は、日本の法律に基づいて罰則が適用されます。
永住ビザ | 帰化 | |
国籍 | 現在の国籍のまま | 日本国籍 |
在留資格カード | 不要 | 不要 |
在留カードの更新 | 必要 | 不要 |
在留資格の更新 | 不要 | 不要 |
参政権 | なし | あり |
母国への帰国 | 母国での入国関連の手続きは不要 | 母国での入国関連の手続きが必要 |
日本への再入国手続き | 再入国手続きが必要 | 再入国手続きは不要 |
日本人パスポート | なし | あり |
社会福祉サービス | 日本人には劣る | 日本人同等 |
銀行からの融資 | 受けやすい | 受けやすい |
職業 | 基本制限なし | 制限なし(公務員にもなれる) |
在留活動 | 制限なし | 制限なし |
法律違反による強制退去 | あり | なし |
【4】帰化申請の流れ
✔STEP1 帰化無料診断へのお申込み
✔STEP2 帰化無料診断及び弊事務所のサポートを説明
✔STEP3 契約締結及び着手金のお支払い
✔STEP4 法務局へ提出する書類の収集及び申請書等の作成
✔STEP5 法務局に相談予約を入れる
✔STEP6 法務局にて面談
✔STEP7 法務局にて申請書類の最終確認及び申請受理
✔STEP8 面接
✔STEP9 審査
✔STEP10 結果
STEP1 帰化無料診断へのお申込み
“帰化無料診断へのお申込み”をクリックし、フォームの質問に答れば、お申込み完了。
STEP2 帰化無料診断及び弊事務所のサポートを説明
ZOOM、GoogleMeet、LINE、WeChat等を使用し面談(事務所面談も可能)。細かい要件の確認と弊事務所のサポート内容を説明。
STEP3 契約締結及び着手金のお支払い
見積書提案後、契約締結をし、弊事務所へ着手金を支払い頂きます。
STEP4 法務局へ提出する書類の収集及び申請書等の作成
申請人の条件や状況により、法務局へ提出する書類は異なります。弊事務所で提出すべき書類をリストアップするとともに、それらの書類を収集します。申請人しか収集することができない書類は、申請人に行っていただきます。また、申請書等の作成は、弊事務局で行います。
STEP5 法務局に相談予約を入れる
弊事務局より、申請人居住地を管轄する法務局又は地方法務局に面談の予約を入れます。
STEP6 法務局にて面談
法務局での面談の際に、日本に来日した経緯から在留資格、家族構成、犯罪歴の有無などを確認されます。この際に、追加書類を要求される場合があります。法務局や申請人の状況によっては、STEP4の前に、STEP6(法務局にて面談)をお勧めする場合があります。
STEP7 法務局にて申請書類の最終確認及び申請受理
再度、法務局に行き書類点検を行います(こちらも必ず予約が必要です)。収集した書類と記載した申請書を法務局の担当官に最終確認してもらいましょう。法務局の状況により、申請受理が別日になる可能性があります(申請受理のために再度、法務局へ訪問する必要がある場合があります。
STEP8 面接
受理から2~3ヵ月経った頃に法務局から連絡がきて、調査や提出した書類の中の疑問点や過去のこと又現在の状況等を質問されます。質問内容は一人一人異なりますが、事実を話せば特に問題はありません。ちなみに、日本に住む配偶者等の家族がいる場合は一緒に面接されます。帰化申請人とその配偶者の面談は別々の部屋でおこなわれます。
STEP9 審査
法務局の職員から申請者の勤務先や学校に在籍確認の電話が入ることがあります。場合によっては実際に自宅等に訪問してくることもあります。訪問される場合は事前に日付を指定されます。※特別永住者の場合これらは原則免除となっております。
STEP10 許可が下りる
許可の場合→官報に名前が掲載され、後日法務局の担当者から電話があります。不許可の場合→不許可の通知が届きます。
※申請から結果が出るまで8カ月~1年以上かかる場合もあります。
電話で指定された日時に法務局に出頭して手続きは終わりとなります。その際に法務局から帰化に係る書類がもらえますので、市役所に持参すると戸籍が編製されます。在留カードは住所地を管轄する入国管理局に返却が必要です。以上が帰化申請の流れとなります。この流れで日本国籍を取得することができます。※日本国籍を取得した後にも戸籍やパスポート等いくつか必要な手続きがあります。
国際行政書士金森勇征事務所