帰化申請の審査期間は長いです。
申請受理までの段階(申請書類の作成や資料の収集)においては、行政書士に依頼することにより、時間の短縮ができます。しかし、一旦、法務局で申請が受理された後、審査にどの程度時間をかけるかは、法務局の裁量となり、大体8ヶ月〜1年かかります。
帰化申請の審査期間が長い理由は?
帰化申請の際に提出する書類には申請が生まれてから現在までの状況を記載し、かつそれを証明する書類を大量に添付します。記載事項に矛盾がないか、添付書類の信憑性、事細かにチェックを行います。法務局の審査官一人だけが確認するのではなく、複数のスタッフ、さらに他の官庁に確認を入れ申請書類の信憑性の確認をします。例えば、税務署、年金事務所、市区町村役場、警察庁、公安調査庁などです。
どのような人が審査期間が比較的短い傾向にあるか?
①年齢が若い方
帰化申請にはその方が生まれてから現在に至るまでの書類を提出することになります。若い方は提出する書類は少なく、申請書に記載されている内容も少ないため、審査に時間が短くて済みます。
②親族の中で先に帰化の許可が下りた人がいる方
その親族の帰化の審査の際に、家族関係等に反社会的勢力の人はいないかや、戸籍、両親について散々審査していますので、審査内容が一部被るので審査が早く完了する傾向にあるようです。
③会社員の方
こちらは個人事業主や経営者と違って審査の書類の数が比較的少なく、また、健康保険料、年金、税金などが給与天引きなので、未納、滞納、脱税滞納の確認に時間を要さないためです。
どのような人が審査期間が比較的長い傾向にあるか?
①年齢が若くない方
生きてきた年数が多ければ多いほど提出書類は多くなります。そのため、その書類の審査に期間を要することになります。
②申請者や同居の親族が全員個人事業主、会社経営者
会社員と違って、財務諸表や納税状況を示す書類等、多くの書類を提出します。また、自身の税金や年金、会社が納付すべき税金や負担すべき社会保険等、審査項目も増えますので、よりいっそう審査に時間を要します。
③申請後に申請書類の内容から変更が生じた方
引越し、転職、婚姻、離婚等、審査受理以降に自身の状況が変わった場合は、審査に時間を要します。
➃過去に犯罪や素行不良行為があった方
帰化の許可を下すかどうか、より慎重に審査する必要があるため、おのずと審査時間が伸びます。
➄申請書類や添付書類に矛盾がある方又はわかりずらい内容である場合
事実確認のため、他の役所等へ連絡したりするため、審査時間を要します。
申請受理後、次に列挙する変更があった場合は速やかに法務局に連絡する必要があります。
・住所又は連絡先が変わったとき
・婚姻・離婚・出生・認知・死亡・養子縁組・離縁など身分関係に変動があったとき
・在留資格や在留期限が変わったとき
・日本からの出国予定(再入国予定を含む)が生じたとき及び再入国したとき
・法律に違反する行為をしたとき(交通違反を含む)
・仕事関係(勤務先)が変わったとき
・帰化後の本籍・氏名を変更しようとするとき
・その他法務局へ連絡する必要が生じたとき(新たな免許資格の取得等があったとき等)
このような変更があった場合は、審査が長引くだけでなく、元々許可がもらえるはずであった人でも不許可となる場合があります。
例えば、勤務先が変わった場合において、ご本人に非がなくとも、転職先の会社のよくない場合(過去に脱税をしている、行政指導を受けている、不法就労が発覚したなど)、転職をして生計要件として安定した収入を確保できないとみなされる場合等は不許可となる可能性があります。いくら好条件で転職して年俸がアップしたことをアピールしても、実際にその年俸をもらえたかどうかは1年後でないと分かりません。
交通違反においても、悪質な交通違反や軽微な違反でも複数回起こすと審査に影響します。