違反も犯罪もないのに
「不許可」——
サラリーマンが帰化で落とされる理由
「素行に問題がなければ大丈夫」という思い込みが招く落とし穴。実際の相談事例をもとに、知らなかったでは済まない2つの審査基準を解説します。
はじめに:違反も犯罪もないのに「不許可」になる現実
「警察に捕まったこともないし、税金も会社の給与から天引き(源泉徴収)されている。だから自分は100%帰化できるはず」——そう信じて自分で帰化申請をしたものの、結果はまさかの「不許可」。
実は、犯罪歴や交通違反などの「素行問題」が一切ない真面目な会社員の方でも、法務局の審査で落とされてしまうケースは後を絶ちません。なぜ、素行に問題のない優秀なサラリーマンが不許可になってしまうのでしょうか?当事務所が過去に相談を受けた実際の事例をもとに、その原因を解説します。
【事例紹介】Aさん(30代・IT企業勤務・独身)のケース
一見すると非の打ち所がない完璧なプロフィールです。Aさんは自信を持って自分で書類を集め、法務局へ申請しました。しかし、結果は不許可。原因を精査したところ、素行とは全く別の「2つの盲点」が浮かび上がってきました。
盲点① :「手取り額」と「仕送り」のバランス(生計要件の不適合)
海外仕送り+海外扶養が「生計要件」に引っかかった
Aさんは年収550万円と、独身で暮らすには十分な収入がありました。しかし、ここに落とし穴がありました。
Aさんは毎月、母国に暮らす両親や親族へ年間約150万円の仕送りをしており、さらにその親族3人を「税法上の扶養」に入れていたのです。
盲点②:出張や帰省による「長期の出国」(居住要件の不適合)
業務命令による海外出張が「居住要件」をリセットしていた
Aさんは真面目な会社員として、会社の命令に従って仕事をしていました。しかし、これが裏目に出ました。
不許可になる前の1年間で、Aさんは会社のプロジェクトのために海外へ3ヶ月連続で出張していました。また、それ以外にも年末年始に2週間ほど母国へ帰省していました。
日本在住期間の「引き続き」カウントがリセットされる
💡 サラリーマンが帰化申請で失敗しないための3つの対策
真面目な会社員の方が「素行以外」で落とされないために、以下の点に事前の注意が必要です。
「会社の源泉徴収」を過信しない
扶養家族の人数や適切な税金の申告が行われているか、申請前に必ずチェックが必要です。特に海外送金(仕送り)をしている場合は、金額と証明書の整合性が問われます。「給与から天引きされているから問題ない」という思い込みが最も危険です。
過去5年間の「出国日数」を正確に把握する
パスポートのスタンプや、出入国在留管理庁への開示請求を行い、自分が「リセット基準(1回90日・年間150日)」に引っかかっていないか必ず計算してください。長期出張が多い職種の方は特に注意が必要です。
転職のタイミングに注意する
素行に問題がなくても、申請直前や審査中に転職をして給与が下がったり、試用期間中であったりすると、「生計の安定性」が疑われ不許可リスクが高まります。転職のタイミングは必ず事前に専門家に相談してください。
行政書士からのアドバイス
帰化申請は、単に「悪いことをしていないか」を見るだけの審査ではありません。収入の使い道、家族の扶養状況、会社の業務による出国など、「一見、何の問題もなさそうな私生活のデータ」が法律の基準に引っかかってしまうことがよくあります。
不許可の通知が届いてからでは、それまでの時間と努力が水の泡になってしまいます。「自分は真面目に会社員をしているから大丈夫」と思っている方も、一度プロの目から見て要件をクリアしているか、確認することをお勧めします。
・ 母国の家族に定期的に仕送りをしている方
・ 海外の親族を税法上の扶養に入れている方
・ 業務命令で海外出張が多い職種に就いている方
・ 申請前後に転職を検討している方
・ 年末年始やお盆に母国へ長期帰省する習慣がある方
当事務所からのメッセージ
「悪いことをしていないから大丈夫」——その思い込みが、長年の努力を一瞬で無駄にしてしまうことがあります。帰化申請は素行だけでなく、生計・居住・扶養・出国日数など、生活の細部まで審査の対象となります。
当事務所では、申請前の段階からリスクを洗い出す「事前診断」を実施しています。申請を考え始めた早い段階でご相談いただくことが、最もスムーズな帰化への近道です。
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