母国の書類が入手できない——
そんな時は「申述書・上申書」で対応できます
法務局から求められた母国の書類でも、やむを得ない事情があれば申請を進めることができます。正しい対処法を解説します。
帰化申請では、法務局から母国で発行された各種証明書の提出を求められます。しかし、どうしても書類を入手できないケースが存在します。そのような場合、帰化申請そのものを諦めなければならないのでしょうか?
答えは「いいえ」です。やむを得ない事情がある場合は、その理由を適切に書面で説明することで、法務局に申請を受理してもらえる可能性があります。本記事では、その具体的な方法と注意点を解説します。
「入手できない」の定義——まず確認すべき重要な前提
ここでいう「入手できない」とは、母国の当局がそもそも当該書類を発行できない・発行してくれない場合を指します。以下の区別をまず明確にしておきましょう。
- 母国に親族がいないため取り寄せられない
- 仕事が忙しくて帰国できない
- 手続きが面倒で後回しにしている
- 母国の当局が書類の発行自体を行っていない
- 制度上、証明書の発行が不可能
- 記録が法的に抹消されている
コロナ禍で帰国できず書類を収集できなかった場合については、法務局は「コロナが落ち着いて帰国できるようになってから、収集して提出してください」という方針でした。
この場合は「発行不可能」ではなく「一時的に収集困難」に当たるため、状況が改善された後に提出することが求められます。
具体的なケース——どんな状況で書類が入手できないのか
対処法——「申述書・上申書」を作成する
上記のようなやむを得ない事情で書類を入手できない場合、A4用紙に「なぜ書類を提出できないのか」という合理的な理由を記した書面を作成します。この書面は一般に「申述書」または「上申書」と呼ばれます。
申述書・上申書に記載すべき内容
提出できない書類の特定
法務局から求められた書類の名称・種類を明確に記載します。「○○国発行の婚姻証明書」など、具体的に特定します。
入手できない理由の詳細な説明
なぜ書類が存在しないのか、または発行できないのかを具体的かつ論理的に説明します。該当国の法律・制度・慣習なども補足として記載するとより説得力が増します。
代替となる情報・証拠の提示
書類が存在しないことを裏付ける情報や、事実を証明できる代替資料(関係者の証言書、当局からの回答書など)があれば合わせて提出します。
申請者本人の署名・押印
申述書・上申書は申請者本人が作成・署名するものです。内容の真実性を自ら宣誓する形式で仕上げます。
私、○○○○は、帰化許可申請に関し、以下の通り申述いたします。
法務局より提出を求められております「○○国発行の○○証明書」について、以下の理由により提出することができません。
【理由】
○○国においては、○○の場合、当該記録が法律上抹消される制度となっており、現在の行政機関においても証明書の発行が不可能な状況です。なお、○○当局に問い合わせた結果、発行不可能である旨の回答を受けており、その回答書を別添として提出いたします。
以上の事情により、誠に申し訳ございませんが、書類の提出が叶わない旨、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。
令和○年○月○日
申請者氏名 印
申述書・上申書を作成する際の注意点
申述書・上申書はあくまで「制度上・物理的に発行不可能な場合」の例外的な対応手段です。
書類の収集が面倒、手間がかかる、費用がかかるといった理由では、法務局に受け入れてもらえません。正当な理由がある場合に限り、誠実かつ具体的に説明することが前提です。
当事務所からのメッセージ
「書類が入手できないから帰化申請を諦めなければならない」——そう思っていた方も、諦める必要はないかもしれません。やむを得ない事情を適切に説明することで、申請を受理してもらえる可能性があります。
当事務所では、母国書類の収集が困難なケースにおける申述書・上申書の作成支援、および法務局との折衝サポートを行っています。「自分のケースが対象になるかわからない」という方も、まずはお気軽にご相談ください。
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